bmilkの書き散らし。

客観的なオタクでいたい。

オタク心をグチャグチャにしてくるDitto

こんにちは。bmilkです。

 

2022年も終わりますが、ここにきてNewJeansがぶっこんできましたね。

 

『Ditto』です。

 

最近常に韓国の音源サイトでチャート1位、みんなが話題にしてるからポップで大衆的な感じかと思いきや突然のホラーコンセプト(オタクにとっては)です。

 

スキズの부작용とか、モネクの걸어とか、こういう青春の危なっかしいダークコンセプトっていいですよね。

 

簡単に言うと、DittoのMVはNewJeansと同級生の友達ヒスが撮る、日常的な学園生活のビデオ映像を繋ぎ合わせてつくられています。ヒスはメンバーと仲良し6人グループでビデオを撮るのが趣味。5人が踊っててもひとりだけビデオでその様子を撮影しています。恋をきっかけに段々5人との距離が開いていくヒス。そしてとうとう、5人が自分が作り出したイマジナリーフレンドだったと気づいてしまうというストーリーです。

 

MVを最初に見た時はPOVホラー映画を見ているかのような不思議な怖さと胸の苦しさがありました。

 

特に常にカメラを持って撮影者であるヒスが、急に5人が最初から存在していなかったことに気づくシーンは本当に怖い!

 

イマジナリーフレンド的な怖さもあるし、カメラを構えてひとりで自分の世界に閉じこもってるヒスを実はヒソヒソと遠巻きにしているクラスメイト、これも怖いです。

 

Twitterで見たけど、このMVはミンヒジンPDが「オタクがアイドルとの距離を詰めてきてることに警鐘を鳴らして」作ったとか。

 

※ここからは暗めの独自解釈になります※

昔からよく友達との話題に上がっていたのですがオタクって、推しを見てる間ひとつも成長しないじゃないですか。

 

推しがサバイバルに出て、デビューして、最初の1年を乗り越えて新人賞を獲り、ケーブルテレビで1位を獲り、地上波で1位を獲り、色んなことを経験して大きく成長していく間に、それを見てるこちらは何も変わってないんです。

 

YouTubeやTV画面を通して推しを見て、解析して、称えて、それだけ。

 

しかも推しに集中すればするほど自分の人生は蔑ろになって、推しから離れてみると残っているものが何もない。

 

たぶん推しがいても自分の人生を頑張れる人にはそれほど響かないMVなんだと思います。

推しを自分の人生の活力にできるような、推しがいなくても人生をちゃんと進めていけるような人には。

 

ただ一度でも自分より推しを優先させた経験がある人や、推しの人生に自分の人生を重ねてしまっている人にはヒスの喪失感がひしひしと伝わってくるんじゃないかなと思います。

 

例えば、自分の人生で何一つ良い結果を残せないから推しのスミンや投票を頑張って、推しが1位を獲ったときの喜びを自分の人生の喜びだと混合してしまう。

このタイプのオタク(私)は、目が覚めた時のヒスの気持ちが痛いほどよくわかるし、できることなら目を覚まして現実と向き合う日が来ないことをずっと願っています。

自分という存在を見えないくらい薄くして推しを応援することに慣れてしまうと、自分の何もない人生を応援してあげることができなくなってしまうんですよね。

 

ヒスだって心の奥底では5人が幻だとわかってるかもしれないけれど、それでも信じたかった夢から無理やり目覚めさせられてしまう、夢の方から突き放される恐怖が、Dittoの MV後半では一気に押し寄せてきます。

 

そして、自分→アイドルという一方通行の関係性は楽です。

アイドルは見ているだけでいいので自分を嫌うこともなく、オタクは推しの好きな姿だけを見て幸せな気持ちでいることができます。

 

それが推しを見ることをやめた途端に、いままで関わらなくてよかった実際の人間関係と向き合わなくてはいけなくなります。自分⇆他人という双方向の関係性には、失敗があり否定があり、自分が好きな人に嫌われるかもしれない恐怖もあります。自分と向き合い、自分の人生を生きていかなくてはいけなくなるんです。

 

MBTIで性格を知ったり、メンバーへの接し方や放送での発言を通して人間性を知ったりするうちにまるでよく知る友達のように感じてくるアイドルは自分を知らないし、自分の話を聞いてくれるわけでもない。

 

薄々気づいていたけど逃げていたリアルで残酷な人間関係に飛び込んでいかなくてはいけないヒスの姿に自分を重ね、胸が苦しくなってしまいました。

 

「本当は自分だけが仲良くないのかも」という不安をうっすら抱かせるために学校の仲良しグループというコンセプトにしたんだとしたら、それも成功だと思います。

 

NewJeansが現実味がないほど綺麗な女の子たちだからこそ、さらに不穏さが増すDittoのMV。

みんなが可愛くて尊い青春のシーンが続くけれど終わりの恐怖が常にまとわりついてくる、そんなオタク心をかき乱す作品でした。

 

10年以上見てきたK-POPでこれほどのものがまた見れるなら、まだ韓国オタクでいたいな、と心から思わせてくれる作品でもありました。

2023年もNewJeansが見せてくれる揺らぎの世界観に期待しつつ、もうしばらくは痛いオタクでいさせてもらえればと思います。